セントラルバレーの夏の暑さのせいかもしれませんし、地元の人々が伝統を誇りに思っているからかもしれませんが、ベイカーズフィールドの博物館巡りをすれば、想像力が膨らみ、知識欲が刺激される体験ができます。
まずは、約6万5千平方メートルの美しい風景に56もの歴史的な建物が並ぶ、カーンカウンティ博物館を訪ねてみましょう。この博物館で人気があるのは、カントリーシンガーのマール・ハガードが幼少の頃に暮らした家。彼の両親が1935年に500ドルで購入した、古い列車の客車です。その他、25セントでお風呂が買えた1860年の雑貨店、教室がひとつしかない学校、1882年の医院など、数々の古い建造物や、サザンパシフィック鉄道のアンティークのエンジン、サンタフェ鉄道の車掌車などをご覧いただけます。
博物館本館の中にある「ベイカーズフィールドサウンド」展では、ハガードその他のミュージシャンが草分けとなり、ナッシュビルの洒落た音楽に対抗して作り上げた、カントリーウエスタン音楽のひとつのジャンルについて学ぶことができます。その次は、「ブラックゴールド」展へ。1895年以来カーンカウンティの主要産業となっている石油の採掘について、ロータリードリルやポンプジャックなどの器機を見ながら学ぶことができます。
次に、CALMの通称で親しまれているカリフォルニア地域生活博物館を訪れ、人類の歴史から自然の歴史へと目を向けてみましょう。公園のような約5万6千平方メートルの動物園を歩きながら、カリフォルニア州固有の植物について学ぶことができます。ここでは、ボブキャット、マウンテンライオン、オオツノヒツジ、ワタオウサギなど、怪我を負ったり野生では生き残ることができない200頭以上の動物を飼育しています。猛禽類の展示では、白頭ワシやトラフズクなどを間近に観察しましょう。さらに、Condor Challenge ロープコースや約10メートルのクライミングウォールで、上半身のワークアウトも可能です。
ダウンタウンのブエナビスタ自然史科学博物館では、地質時代へと逆戻りしましょう。CALMの一環であるこの博物館には、1400〜1500万年前の中新世の化石を数多く展示しています。ベイカーズフィールド北東部にあるシャークトゥースヒルで発掘されたアシカやサメなどの太古の遺跡からは、セントラルバレーがかつては大西洋沿岸にあったことが分かります。
もう一つの興味深い史跡は、街の約73キロメートル北にあるカーネルアレンズワース州立歴史公園です。 アフリカ系アメリカ人のグループがユートピア的社会を作り出そうとした、1900年代初期のコミュニティの跡地で、カリフォルニアの歴史の中でも珍しい出来事を見事に展示しています。再建された学校の建物や教会など、さまざまな建築物を訪れてみてください。